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会社関係者による申告と自首の成否(東京高裁令和5年3月17日判決)

今回のコラムでは、会社主導で犯罪事実の申告がなされた場合の自首の成否について判断した東京高裁令和5年3月17日判決の概要を紹介します。

本判決は、あくまで具体的な事実関係の下における事例判断ではあるものの、他人を介した自首の成否について、丁寧に判断を示しており、実務上参考になります。

 

事案の概要

本件は、被告人Aと被告人Bが、共犯者らと共謀して、持続化給付金合計1800万円を不正受給した詐欺18件の事案です 。本件では、会社の内部調査によって被告人両名の犯罪が会社関係者に発覚し、会社関係者が警察に犯罪事実を申告した経緯があったため、このような場合でも自首が成立し得るかが争点となりました 。

 

原審の判断

原審は、犯罪事実の申告に至る経緯等を認定したうえで、自首は必ずしも犯人自らがする必要はなく、他人を介して事故の犯罪を捜査機関に申告した場合にも成立し得るものの、本件では、被告人両名は、上司であるCから不正受給への関与の有無を問われてこれを認め、Cに対して本件各犯行を含む不正受給の事実を申告するなどしているが、Cに対して、そのことを直ちに捜査機関に連絡するゆお求めるなどしわけでもないことから、Cを介して操作金に本件各犯行を申告したとみることはできないなどと指摘したうえで、被告人両名について自首の成立を否定しました。

 

裁判所の判断

これに対し、本判決は、本件の具体的な事実経過を前提としたうえで、被告人両名について、以下のとおり、自首の成立を認めました。

・被告人両名は、会社の内部調査に応じた際、これに全面的に協力し、自らが関与した犯罪事実の内容を自発的に申告し、罪を認めるとともに証拠等を全て会社に提出し、以後は会社の指示や意向に従って行動し、警察に申告すること及びその時期や内容も全て会社に委ね、会社が警察に申告した場合には、いつでも警察の要請に応じて出頭し、捜査に協力するとの意思であった

会社において、自首したいと言う被告人Aに対し、直接自首せず会社に任せるよう指示していた旨の被告人Aの供述について、これを疑うべき事情はなく、被告人Bについても同様の状況であったことが推認できる

・被告人両名において、会社の意向に反して自ら直接警察に申告したり、内部調査を行っている段階の会社に対して直ちに警察への申告を行うよう進言することは、事実上困難ないし期待し難いものであったと認められる

・会社関係者においても、被告人両名が犯罪事実の捜査機関への申告を含め全て会社の意向に従うことを当然の前提として内部調査を進め、その結果を遅滞なく警察に申告したものと認められる

・以上によれば、会社関係者が被告人両名の犯罪事実を警察に申告したことは、面談において被告人両名が警察に対して犯罪事実を申告する意思を有することを確認し、その旨の被告人両名と会社との意思の連絡に基づき行ったものとみることができる

・したがって、会社関係者による上記申告は、被告人両名において自らが捜査機関に申告したものと実質的に違いはないというべきである

 

コメント

自首(刑法42条1項)は、刑事訴訟法245条により、告訴・告発の場合の規定が準用されるため、検察官又は司法警察員に対し書面又は口頭で行う必要があります(刑事訴訟法241条1項)。

最高裁昭和23年2月18日判決(刑集2巻2号104頁)が、犯人が長男を殺害した後、次男をして警察官に対し自己の犯罪事実を申告させた事案において、自首の効力を認めているとおり、口頭による場合、他人を介して行うことも可能と考えられています。

もっとも、他人を介した自首として有効であるためには、犯人が自発的に自己の犯罪事実を捜査機関に申告して訴追を求める意思を有しており、かつ、犯人とその他人との間に申告について医師の連絡が認められる場合でなければならないとされており(京都地裁昭和47年3月29日判決)、他人を介した自首の成否については、申告に関する意思の連絡の有無や程度に関する具体的な事実関係が重要と考えられています。

本判決は、具体的な事実関係を前提に、会社関係者による申告は、被告人両名との意思の連絡に基づくものといえ、実質的には被告人両名が自ら捜査機関に申告したものと同視できるとして自首の成立を認めており、事例判断ではあるものの、実務上参考になります。

 

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