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Column更新 2026.10.15(令和8年3月公表のネットパトロール事業の報告・改正ガイドライン等により更新)

医療広告違反は何が多いのか?最多の「限定解除」不備は約31%
(数字で見る医療広告規制)

厚生労働省のネットパトロールで確認された医療広告の違反を、令和4・5・7年度の公表データで分析いたします。令和7年度に最も多かったのは、限定解除の要件を満たさない「広告可能事項以外の広告」で約31%を占め、誇大広告、費用の強調、治療前後の写真が続きました。分野別では、美容が違反ありのサイトの約44%を占めています。数字を読むときの注意点と確認リストについてもご案内します。

クリニックのホームページやSNSを作るとき、また見直すときには、どのような広告が違反とされやすいのかを知っておくと、確認の重点を決めやすくなります。厚生労働省の委託事業「医業等に係るウェブサイトの調査・監視体制強化事業」として行われている、医療機関のウェブサイトなどの監視(「医療機関ネットパトロール」。以下「ネットパトロール」といいます)では、確認された違反の数が、違反の種類別・医療分野別に公表されています。

自由診療の治療内容を広告する場合は、違反として最も多く確認されている費用やリスク・副作用の記載の不備に特に注意し、あわせて、誇大な表現、費用を強調した表示、治療前後の写真についても確認することが大切です。令和7年度(令和8年2月末時点)に確認された違反5,225件のうち、最も多かったのは、限定解除の要件を満たさないまま広告できない事項を載せる「広告が可能とされていない事項の広告」(以下「広告可能事項以外の広告」といいます)で、約31%(1,595件)でした。次いで、誇大広告が約23%(1,215件)、費用を強調した広告などの「その他」が約15%(766件)、治療等の前後の写真等が約14%(745件)となっています。

本コラムでは、ネットパトロールの違反の分類と、令和4・5・7年度の種類別・分野別の数字、その読み方の注意点、違反を防ぐために確認したい点を、厚生労働省の公表資料と医療広告等ガイドラインに沿って解説いたします。

この記事でわかること

  • ネットパトロールの違反の8つの分類と、それぞれの例
  • 違反の種類別・医療分野別の数字(令和4・5・7年度)と、読み方の注意点
  • 違反を防ぐために確認したいことと、よくある失敗の例

ネットパトロールでは、違反をどのように分類していますか

ネットパトロールの資料では、医療広告等ガイドラインの「禁止される広告」の(1)〜(8)と同じ区分で、違反の数を数えています。それぞれの根拠と、ガイドラインに挙げられている例は、次のとおりです。

表1 ネットパトロールの違反の種類

違反の種類根拠ガイドラインの例(抜粋)
(1)虚偽広告医療法6条の5第1項「絶対安全な手術です!」、加工・修正した術前術後の写真、根拠・調査方法を示さない「○%の満足度」
(2)比較優良広告同条2項1号「日本一」「No.1」「最高」などの最上級の表現(客観的な事実であっても不可)、「著名人も当院で治療を受けております。」
(3)誇大広告同項2号大きく表示した費用が、実は5か所以上を同時に施術したときの値段である、活動実態のない団体による「○○学会認定医」、「比較的安全な手術です。」
(4)公序良俗に反する広告同項3号わいせつ・残虐な図画や映像、差別を助長する表現
(5)広告可能事項以外の広告同条3項、医療法施行規則1条の9の2限定解除の要件(費用・リスクなどの明記など)を満たさないまま、広告できる事項以外の内容を載せること。死亡率・術後生存率など
(6)体験談同法6条の5第2項4号、同規則1条の9第1号治療等の内容・効果に関する、患者の主観や伝聞に基づく体験談
(7)治療等の前後の写真等同規則1条の9第2号治療前後の写真やイラストだけを示し、説明が不十分なもの
(8)その他医療広告等ガイドライン第3-1の1(8)「今なら○円でキャンペーン実施中!」「期間限定で○○療法を50%オフ」などの費用を強調した広告、「無料相談をされた方全員に○○をプレゼント」

出典:厚生労働省「医療広告等ガイドライン」第3-1、医療法6条の5、医療法施行規則1条の9・1条の9の2。(8)その他は、ガイドラインの「品位を損ねる内容の広告」のうち、「費用を強調した広告」と「提供される医療の内容とは直接関係ない事項による誘引」に当たる箇所を数えたものです(厚生労働省「ネットパトロール事業について(令和7年度)」5頁の注記)。

(5)の「限定解除」とは、本来は広告できない自由診療の治療内容などを、一定の要件をすべて満たした場合に限って広告できるようにする仕組みです。要件は、①患者が自ら求めて入手する情報を表示するウェブサイトなどであること、②問い合わせ先を示すこと、③自由診療について通常必要とされる治療内容・費用などの情報を示すこと、④自由診療の主なリスク・副作用などの情報を示すこと、の4つです(医療法施行規則1条の9の2)。なお、ネットパトロールの通知を受けたときの確認の手順は、「ネットパトロールの通知、放置するとどうなる?」で取り上げていますので、ご参照ください。

どの種類の違反が多いですか

令和4・5・7年度のいずれも、最も多いのは(5)広告可能事項以外の広告です。令和7年度は、違反5,225件のうち1,595件で、約31%を占めました。

表2 違反の種類別の件数と割合(令和4・5・7年度)

違反の種類令和4年度令和5年度令和7年度
(1)虚偽広告180(4.4%)301(4.8%)146(2.8%)
(2)比較優良広告192(4.7%)391(6.2%)484(9.3%)
(3)誇大広告449(10.9%)961(15.2%)1,215(23.3%)
(5)広告可能事項以外の広告2,451(59.6%)3,323(52.5%)1,595(30.5%)
(6)体験談159(3.9%)242(3.8%)274(5.2%)
(7)治療等の前後の写真等434(10.5%)641(10.1%)745(14.3%)
(8)その他(費用の強調など)250(6.1%)469(7.4%)766(14.7%)
合計4,1156,3285,225

出典:厚生労働省「ネットパトロール事業について」(令和4年度6頁・令和5年度5頁・令和7年度5頁)の「医療分野/違反種類別の違反数」。割合は、当事務所が各年度の合計に対する比率を計算したもの(小数点以下第2位を四捨五入)。時点は、令和4年度が令和5年3月31日、令和5年度が令和6年3月31日、令和7年度が令和8年2月28日。令和4・5年度は「か所」、令和7年度は「件」で数えています。(4)公序良俗に反する広告は、各年度とも0件です。令和6年度の種類別の数字は、公表資料では確認できませんでしたので、表2には掲載しておりません。

ただし、この割合の変化は、そのまま「減った」「増えた」とは読めません。令和7年度の資料には、(5)は虚偽・誇大などの他の分類とは重複しない独立した区分である、という注記があります。令和4・5年度の資料にはこの注記がなく、分類の扱いが同じかどうかは、資料からは分かりません。また、違反の数え方(「か所」と「件」)や、資料の時点も年度によって異なります。

表2で割合が高くなっている違反は、何ですか

表2の上では、令和4年度と令和7年度を比べると、(3)誇大広告が10.9%から23.3%に、(8)その他(費用の強調など)が6.1%から14.7%に、(7)治療等の前後の写真等が10.5%から14.3%に、(2)比較優良広告が4.7%から9.3%に、それぞれ高くなっています。ただし、前記のとおり、分類の扱い、数え方、時点が年度によって異なるため、違反そのものが増えたという傾向として読むことはできません。

また、委託事業者が自ら探す「能動監視」の影響も考える必要があります。令和7年度の違反5,225件のうち1,487件は能動監視で確認されたものです(令和8年2月28日時点)。能動監視は、美容のほか、がん、歯科、オンライン診療などもテーマとしつつ、違反が多いと考えられる美容の自由診療の広告について、リスク・副作用の記載不足やビフォーアフターの違反を見つけるようにキーワードを設定して行われました。例えば、(7)治療等の前後の写真等の745件のうち320件は、能動監視によるものです(厚生労働省「ネットパトロール事業について(令和7年度)」5・6頁)。

媒体ごとの傾向も示されています。令和7年度の能動監視では、ウェブサイトとYouTubeでは(5)広告可能事項以外の広告が最も多かった一方、InstagramとTikTokでは(7)治療等の前後の写真等が最も多く(それぞれ約32%、約55%)、Xでは(8)その他が最も多くなっていました(約32%)(同資料7頁。令和8年1月9日時点で初回の評価中だった案件のうち、1つ以上の違反があった413サイト・1,067件の集計です。前記の1,487件は令和8年2月28日時点の数字です)。

どの医療分野で違反が多いですか

令和7年度は、違反ありのサイト1,842のうち、美容が803サイト(約44%)、歯科が377サイト(約20%)でした。違反の件数でも、美容が2,486件と、全体の半分近くを占めています。

表3 医療分野別の違反(令和7年度、令和8年2月28日時点)

医療分野違反ありのサイト違反の件数1サイトあたり件数の多い違反の種類(上位2つ)
美容8032,4863.1広告可能事項以外(669)、前後の写真等(495)
歯科3771,1593.1広告可能事項以外(373)、誇大(273)
がん35942.7誇大(34)、広告可能事項以外(31)
内科系2585682.2広告可能事項以外(240)、誇大(176)
産婦人科系821732.1広告可能事項以外(67)、誇大(43)
その他2877452.6誇大(222)、広告可能事項以外(215)
合計1,8425,2252.8広告可能事項以外(1,595)、誇大(1,215)

出典:厚生労働省「ネットパトロール事業について(令和7年度)」5頁。「件数の多い違反の種類」は、同頁の表から当事務所が整理したもの。「がん」は、通報の際に「医療機関(がん)」が選ばれたサイトについての集計です。

美容では、違反2,486件のうち、(7)治療等の前後の写真等が495件(約20%)、(8)その他(費用の強調など)が488件(約20%)で、全体の割合(約14%、約15%)よりも高くなっています。歯科では、(2)比較優良広告が144件(約12%)で、全体の割合(約9%)よりも高くなっています。

治療の内容で見ると、令和5年度の資料では、違反広告をキーワード別に集計した治療内容別の割合として、美容では、美容注射(ボトックス注射、ヒアルロン酸注射など)が21%、顔整形とGLP-1がそれぞれ11%などで、歯科では、審美(ホワイトニング、セラミックなど)が33%、インプラントが25%、矯正が17%などでした(厚生労働省「ネットパトロール事業について(令和5年度)」6頁)。

違反を防ぐには、何を確認すればよいですか

統計で件数の多い違反の種類に沿って、確認しておきたい点として、次のようなものが挙げられます。

01自由診療のページに、費用とリスク・副作用を書いているか

自由診療の治療内容を載せる場合は、通常必要とされる治療内容・費用などと、主なリスク・副作用などの情報を示します。これらの情報は、患者にとって分かりやすい場所に示す必要があります。未承認医薬品等を使う治療や、承認された効能・効果以外の目的で医薬品等を使う治療では、さらに記載が必要な事項があります(医療広告等ガイドライン第3-3)。

02「日本一」「No.1」や著名人との関係など、優秀さを強調する表現がないか

最上級の表現は、客観的な事実であっても、比較優良広告として禁止されています。調査結果などを引用する場合は、出典、調査の実施主体、調査の範囲、実施時期などを併記する必要があります(医療広告等ガイドライン第3-1の1(2))。また、「比較的安全な手術です。」のように、何と比べているのかが分からない表現は、誇大広告として取り扱うとされています(同(3))。

03費用の見せ方が、費用を強調するものになっていないか

ガイドラインは、「今なら○円でキャンペーン実施中!」「期間限定で○○療法を50%オフで提供しています」や、元の値段に取消線を引いて割引後の値段を示す表示、「○○治療し放題プラン」などを、費用を強調した広告の例に挙げています(第3-1の1(8)ア①)。また、大きく示した値段が一定の条件のときだけのもので、小さな注釈を見落とすような表示は、誇大広告として取り扱うとされています(同(3))。

04治療前後の写真に、必要な説明を付けているか

治療前後の写真は、通常必要とされる治療内容・費用などと、主なリスク・副作用などの詳しい説明を付ける必要があります。説明は、リンク先のページに置いたり、極端に小さな文字で示したりしてはならないとされています(ガイドライン第3-1の1(7))。撮影条件を変えて効果を強調した写真は誇大広告に、加工・修正した写真は虚偽広告に当たるとされています(同(3)・(1))。

05SNS・動画でも、同じ確認をしているか

ネットパトロールの能動監視は、ウェブサイトのほか、X、Instagram、YouTube、TikTokも対象としています。前記のとおり、令和7年度の能動監視の集計では、InstagramとTikTokで前後の写真等の違反が最も多く確認されています。厚生労働省の「医療広告規制におけるウェブサイト等の事例解説書(第6版)」には、SNSや動画の事例も載っています。

よくある失敗の例

よくある失敗例としては、例えば、次のようなケースが挙げられます。

  • ホームページの費用・リスクの記載は整えたが、InstagramやTikTokの投稿では、説明のない治療前後の写真を載せている
  • 「キャンペーン」の文言だけを削り、元の値段に取消線を引いた割引後の値段の表示を残している
  • 「当院調べ」の満足度を、調査の方法を示さずに載せている
  • 著名人が来院していることを、ホームページやSNSで紹介している

このような失敗をしないように、ホームページだけでなく、SNSや動画も含めて、広告全体を確認する必要があります。

違反の種類ごとの確認リスト

違反の種類確認すること
広告可能事項以外自由診療の治療内容を載せるページに、治療内容・費用、主なリスク・副作用を、分かりやすい場所に書いているか
誇大効果や安全性を強調する表現、条件付きの値段を大きく示す表示、活動実態のない団体の認定の表示がないか
その他(費用の強調など)キャンペーン、割引率、取消線を引いた値段、プレゼントを強調していないか
前後の写真等治療前後の写真に、治療内容・費用、主なリスク・副作用の説明を同じ場所に付けているか。加工・修正していないか
比較優良「日本一」「No.1」「最高」などの表現や、著名人との関係の強調がないか
体験談治療の内容・効果についての患者の体験談を、広告に載せていないか
SNS・動画ホームページと同じ確認を、SNSの投稿や動画にもしているか

よくある質問

Q

統計で件数の少ない種類の違反なら、問題になりにくいですか。

A

統計の件数は、ネットパトロールで確認された違反の数で、違反の重さを示すものではありません。例えば、虚偽広告の件数は令和7年度で146件ですが、虚偽の広告は、それ自体が6月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金の対象とされています(医療法6条の5第1項・87条)。

Q

ネットパトロールで違反が見つかった場合は、どうなりますか。

A

違反が見つかったサイトについては、医療機関に通知が送られ、広告の見直しが求められます。令和7年度は、通知を受けた1,819サイトのうち1,238サイトで改善または広告の中止が確認された一方、2回の確認を経ても改善が不十分だったサイトのうち377サイトについては、所管の自治体に改善指導などが依頼されました。なお、通知が届いた後の流れは、「ネットパトロールの通知、放置するとどうなる?」で取り上げていますので、ご参照ください。

Q

美容医療や歯科でなければ、監視の対象になりませんか。

A

対象になります。令和7年度は、内科系で258サイト、産婦人科系で82サイト、がんで35サイトなど、美容・歯科以外の分野でも違反が確認されています。内科系では、違反568件のうち240件が、広告可能事項以外の広告でした。

Q

キャンペーン価格を載せることは、法律違反になりますか。

A

ガイドラインは、費用を強調した広告を「品位を損ねる内容の広告」の一つとして挙げ、厳に慎むべきとしています。ネットパトロールでも、違反の一つとして数えられています。また、表示の仕方によっては、誇大広告に当たるほか、景品表示法の有利誤認表示が問題になることもあります。

医療広告の点検は、当事務所にご相談ください

当事務所では、医療法・医療広告等ガイドラインと、厚生労働省・消費者庁の公表資料を踏まえて、クリニックのホームページ・SNS・動画の点検から、ネットパトロールの通知や自治体の指導への対応まで、お引き受けしております。

  • 自由診療のページの費用・リスクの書き方が、限定解除の要件を満たしているか確認したい
  • キャンペーン価格や治療前後の写真の載せ方を見直したい
  • ホームページだけでなく、SNSや動画も含めて点検したい
  • 広告代理店・制作会社として、クリニックから依頼された広告の表現が規制に触れないか確認したい

費用の目安としては、ホームページなどのスポットでの点検が110,000円から、ネットパトロールの通知・行政指導への対応が着手金330,000円から、医療広告チェック顧問サービスが月額110,000円から承っております(いずれも消費税込みで、工数によって変わります)。ご相談はオンライン(Google Meet等)でも承っており、全国からご依頼いただけます。ご関心のある方は、本ウェブサイトのお問い合わせフォームよりご連絡ください。

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医療広告の規制の全体像と、当事務所によるクリニックの広告チェックについては、特集「数字で見る医療広告の違反と対策」でご案内しています。

本コラムは2026年10月時点の法令・判例に基づいています(更新)。本コラムは、一般的な情報提供を目的として作成したものであり、個別の法律上のアドバイスではありません(その他、免責事項についてもご参照ください)。具体的な事案については、本ウェブサイトのお問い合わせフォームよりご連絡ください。

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