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Column更新 2026.10.15(令和8年9月までに公表された消費者庁の監視結果等により更新)

消費者庁の「改善指導」が届いたら、何をすべき?
(数字で見る健康食品・化粧品の広告規制)

消費者庁から健康食品などの表示について「改善指導」が届いたときの対応を、公表データで解説いたします。令和7年度は、健康増進法に基づく監視で589事業者(641商品)、景品表示法に基づく監視で324件の表示に改善指導が行われました。指導されている表示の例や、勧告・措置命令・課徴金との関係、届いたときにすべきことのほか、当事務所による広告の確認と行政対応についてもご案内します。

健康食品などをインターネットで販売する事業者に、消費者庁から、表示の改善を求める「改善指導」が届くことがあります。消費者庁は、健康増進法と景品表示法の二つの法律に基づいて、インターネット上の表示を監視しています。令和7年度には、健康増進法に基づく監視で589事業者(641商品)に、景品表示法に基づく監視で324件の表示に、改善指導が行われました。

結論から言えば、改善指導を受けた場合は、すぐに指摘された表示を直すとともに、同じ表現がほかの商品や広告に残っていないかを確認し、再発防止に向けた体制を整えることが求められます。改善指導は、法律に基づく処分ではなく行政指導です。健康増進法の監視では、令和7年度に改善指導を受けた589事業者について、消費者庁の発表で、改善件数が指導件数と同数とされています。一方、景品表示法の措置命令や課徴金納付命令は、消費者庁のウェブサイトなどで事業者名とともに公表されています。

本コラムでは、消費者庁の二つの監視の仕組み、どのくらいの事業者が指導を受けているか、どんな表示が指導されているか、改善指導が届いたときにすべきことを、消費者庁の公表資料の数字とともに解説いたします。

この記事でわかること

  • 消費者庁の「改善指導」とは何か、どのくらいの事業者が受けているか
  • どんな表示が指導されているか(12四半期分の発表から)
  • 改善指導が届いた後の流れと、届いたときにすべきこと

消費者庁の「改善指導」とは、何ですか

消費者庁は、インターネット上の健康食品などの表示を監視し、法律に違反するおそれがある表示を見つけると、事業者に表示の修正や削除を促す指導を行っています。これが「改善指導」で、法律に基づく処分(命令など)ではなく、行政指導です。監視には、健康増進法に基づくものと、景品表示法に基づくものの二つがあります。

表1 消費者庁によるインターネット上の表示の監視

健康増進法に基づく監視景品表示法に基づく監視
対象となる表示食品の健康保持増進効果等について、著しく事実に相違し、または著しく人を誤認させるような表示(健康増進法65条1項)商品・サービスの品質や価格などについて、実際よりも著しく優良・有利であると誤認させる表示など(景品表示法5条)
監視の方法一般的な検索エンジンでキーワード検索し、検索された商品のサイトを目視で確認委託事業者によるインターネット上の広告の監視の結果を、消費者庁が確認(令和5年度から)
令和7年度の改善指導589事業者・641商品324件の表示
結果の公表四半期ごとに、件数と、表示されていた効果の例を公表年度ごとの運用状況に件数の記載(令和5年度・令和7年度。令和6年度は記載なし)

出典:消費者庁「インターネットにおける健康食品等の虚偽・誇大表示に対する改善指導について(令和8年4月~6月)」、同「令和7年度における景品表示法等の運用状況及び表示等の適正化への取組」

健康増進法の監視では、事業者がショッピングモールに出店している場合、モールの運営事業者にも、指導を行った旨が通知され、表示の適正化への協力が依頼されます(同発表)。

どのくらいの事業者が指導を受けていますか

表2 改善指導などの件数の推移

年度健康増進法に基づく改善指導景品表示法に基づく監視の結果
令和5年度771事業者・792商品81事業者に注意喚起
令和6年度519事業者・620商品改善指導を開始(行政事業レビューシートによる。件数は運用状況に記載なし)
令和7年度589事業者・641商品324件の表示に改善指導

出典:消費者庁「健康増進法(誇大表示の禁止)」のページに掲載の四半期ごとの発表、消費者庁「令和5年度における景品表示法等の運用状況及び表示等の適正化への取組」、同(令和7年度)、消費者庁の行政事業レビューシート(不当表示等違反事件調査)。健康増進法の改善指導は、各年度とも、消費者庁の発表で、改善件数が改善指導件数と同数とされています(各年度の翌年度4〜6月期の発表)。

対象は、カプセルや錠剤のいわゆる健康食品に限りません。令和8年4〜6月の監視では、改善指導の対象となった126商品のうち、いわゆる健康食品が95商品、加工食品が23商品、茶・コーヒーなどの飲料が5商品、農産物・水産物などの生鮮食品が3商品でした(前記の令和8年4月~6月の発表)。

なお、健康増進法の監視は食品の表示が対象です。化粧品の広告は、主に薬機法(虚偽・誇大広告の禁止など)と景品表示法の規制を受けます。化粧品の広告については、別の回で取り上げる予定です。

どんな表示が指導されていますか

健康増進法の監視の発表には、指導の対象となった表示の例が載っています。令和8年4〜6月の発表では、例えば、いわゆる健康食品についてダイエット、脂肪燃焼、高血圧予防、血液サラサラ、アンチエイジング、腸内環境を整える、抗酸化作用、デトックス効果、免疫力向上、身体のめぐりサポートなど、飲料について血行促進、代謝アップ、動脈硬化予防、糖尿病予防などに効果を有することを標ぼうする表示が挙げられています(いずれも抜粋)。

当事務所が、令和5年4〜6月から令和8年1〜3月までの12四半期分の発表を集計したところ、次のテーマの表現は、12期中11〜12期で、指導の例に挙がっていました。

表3 指導の例に挙がった表現のテーマ(当事務所の集計)

テーマ例に挙がった四半期(12期中)表現の例
美容・肌・アンチエイジング12アンチエイジング、抗酸化作用、美肌効果、老化防止
生活習慣病(血糖・血圧・血流など)12生活習慣病予防、高血圧予防、血液サラサラ
ダイエット・代謝12脂肪燃焼、ダイエット、内臓脂肪減少
病気の予防・治療11認知症予防、がん予防、骨粗しょう症予防
免疫・花粉・アレルギー11花粉症対策、免疫力向上、風邪予防
腸内環境・デトックス11腸内環境改善、デトックス、便秘解消

出典:消費者庁の四半期ごとの発表(令和5年4〜6月期〜令和8年1〜3月期)の「表示されていた健康保持増進効果等(一部)」の欄を、当事務所がテーマ別に分類して数えたもの(テーマの分類は当事務所の判断によります。例えば「病気の予防・治療」は、どの表現を含めるかによって9〜11期となり、がん・認知症などの病名を挙げた表現に限ると9期です)。欄は「一部」の例示のため、商品の数ではなく、例に挙がった四半期の数を示しています。個別の表現では、「アンチエイジング」が9期、「抗酸化作用」が8期でした。

病気の名前を出していなくても、効果を暗示的・間接的に表現するものや、体験談などを引用して表示するものも、健康保持増進効果等の表示に当たるとされています(消費者庁「健康食品に関する景品表示法及び健康増進法上の留意事項について」)。

改善指導の後は、どうなりますか

健康増進法の監視では、消費者庁の発表で、改善件数が改善指導件数と同数とされており、まずは指摘された表示を直すことが基本の対応になります。一方で、法律上は、改善指導とは別に、次のような措置が定められています。改善指導を経ずに、これらの措置がとられることもあります。

表4 法律に定められている措置(改善指導とは別のもの)

法律措置罰則など
健康増進法国民の健康の保持増進などに重大な影響を与えるおそれがある場合の勧告、勧告に係る措置をとらない場合の命令(66条)命令に違反した場合、6月以下の拘禁刑または100万円以下の罰金(71条)
景品表示法措置命令(7条。消費者庁が事業者名とともに公表)、確約手続(26条以下)優良誤認・有利誤認の表示には課徴金(売上額の3%。150万円未満などは対象外。8条)、100万円以下の罰金(48条)
薬機法医薬品的な効能効果をうたう未承認医薬品等の広告(68条)や、虚偽・誇大広告(66条1項)への措置命令(72条の5)虚偽・誇大広告には課徴金(対価の合計額の4.5%。225万円未満は対象外。75条の5の2)。66条1項・68条の違反には、2年以下の拘禁刑または200万円以下の罰金(併科あり。85条)

根拠:健康増進法65条・66条・71条、景品表示法5条・7条・8条・26条・48条、薬機法66条・68条・72条の5・75条の5の2・85条

景品表示法の課徴金納付命令は、令和7年度に10件(合計3億3,940万円)でした(前記の令和7年度の運用状況)。また、都道府県などの監視で見つかった薬機法の広告の違反は、令和6年度に、虚偽・誇大広告233件、未承認医薬品等の広告354件でした(厚生労働省「令和7年度全国薬務関係主管課長会議資料(参考資料編)」の衛生行政報告の違反発見件数。インターネットの広告に限らない数字です)。

改善指導が届いたら、何をすればよいですか

改善指導が届いたときに確認しておきたい点として、次のようなものが挙げられます。

01指摘された表示と、その理由を確認する

指摘された表示が、どの法律のどの規定に違反するおそれがあるとされているのかを確認します。消費者庁の「健康食品に関する景品表示法及び健康増進法上の留意事項について」には、問題となる表示の考え方と例がまとめられています。

02同じ表現を、すべての販売の場で探す

自社の通販サイトだけでなく、ショッピングモールの商品ページ、SNSの投稿、ランディングページ、アフィリエイトサイトの記事などに、同じ表現が残っていないかを確認します。アフィリエイトサイトの表示であっても、広告主が表示内容の決定に関与したと評価される場合には、広告主の表示として扱われることがあります(前記の留意事項)。

03景品表示法・薬機法の観点からも見直す

健康増進法の観点だけでなく、価格や「今だけ」といった表示(景品表示法)や、病気の治療・予防のような医薬品的な効能効果の表示(薬機法)も、あわせて確認します。一つの表示が、複数の法律の問題になることがあります。

04修正の内容を記録しておく

いつ、どの表示を、どのように直したかを記録し、修正前の表示も保存しておきます。モールの運営事業者から問い合わせを受けた場合などに、説明しやすくなります。

05新しい広告を出す前の確認の手順を決める

指導を受けた表現や、その言い換えを社内のNG表現の一覧にまとめ、新しい商品や広告を出す前に確認する手順を決めておくと、同じ問題の再発を防ぎやすくなります。

よくある失敗の例

よくある失敗例としては、例えば、次のようなケースが挙げられます。

  • 指摘された商品ページだけを直し、同じ表現がモールの商品ページやSNSの投稿に残っている
  • 「血液サラサラ」を別の言葉に言い換えただけで、伝わる内容が変わっていない
  • 効果をお客様の体験談の形で載せ、「個人の感想です」と書けば問題ないと考えている
  • 指導を受けたことを社内で共有せず、新しい商品で同じ表現を使っている

このような失敗をしないように、表示の内容をよく確認してから公開する必要があります。なお、「個人の感想です」「効果を保証するものではありません」などと表示しても、それだけで虚偽誇大表示などに当たるかどうかの判断は変わらないとされています(前記の留意事項)。

改善指導が届いたときの確認リスト

確認することポイント
指摘の根拠どの法律の、どの規定に違反するおそれがあるとされているか
販売の場自社サイト、モール、SNS、ランディングページ、アフィリエイト記事に同じ表現がないか
言い換え言い換えた表現でも、同じ効果を伝えていないか
体験談体験談やお客様の声で、効果をうたっていないか
ほかの法律価格・期間限定の表示や、医薬品的な効能効果の表示に問題がないか
再発防止NG表現の一覧と、公開前の確認の手順を決めたか

よくある質問

Q

改善指導を受けたことは、公表されますか。

A

健康増進法の監視の発表には、件数と表示の例が載りますが、事業者名や商品名は記載されていません。一方、景品表示法の措置命令や課徴金納付命令は、消費者庁のウェブサイトなどで事業者名とともに公表されています。

Q

ショッピングモールの運営事業者から連絡が来たのは、なぜですか。

A

健康増進法の監視では、改善指導を受けた事業者がショッピングモールに出店している場合、モールの運営事業者にも指導を行った旨が通知され、表示の適正化への協力が依頼されます。モールから表示の修正を求められることがあるため、指摘された表示とあわせて、ほかの商品ページも確認することをお勧めします。

Q

サプリメントではない食品(お茶・野菜など)でも、指導を受けますか。

A

受けることがあります。健康増進法65条1項は、食品として販売に供する物の表示を対象としています。令和8年4〜6月の監視では、改善指導の対象となった126商品のうち、加工食品が23商品、飲料が5商品、生鮮食品が3商品でした。

Q

機能性表示食品なら、効果を自由に書けますか。

A

自由には書けません。消費者庁の留意事項では、機能性表示食品について届出をした表示内容を超える表示や、国の許可を受けたものと誤認される表示をする場合などには、虚偽誇大表示等に当たるおそれがあるとされています(前記の留意事項)。

改善指導への対応は、当事務所にご相談ください

当事務所では、健康増進法・景品表示法・薬機法と、消費者庁・厚生労働省の公表資料を踏まえて、健康食品・化粧品の広告の公開前の確認から、改善指導や措置命令への対応まで、お引き受けしております。

  • 消費者庁から改善指導が届いたが、どこまで直せばよいか分からない
  • 指摘された商品のほかにも、問題のある表示がないかを確認したい
  • 新しい商品の広告を、公開前に確認してほしい
  • 広告代理店・制作会社として、広告主から依頼された表現が規制に触れないか確認したい

費用の目安としては、広告のスポットでの確認が110,000円から、改善指導や景品表示法の調査などの行政対応が着手金330,000円から、広告内容チェック顧問サービスが月額110,000円から承っております(いずれも消費税込みで、工数によって変わります)。ご相談はオンライン(Google Meet等)でも承っており、全国からご依頼いただけます。ご関心のある方は、本ウェブサイトのお問い合わせフォームよりご連絡ください。

医療機関・クリニックの広告については、『数字で見る医療広告規制』として、「ネットパトロールの通知、放置するとどうなる?」についても、取り上げています。よろしければ、併せてご参照ください。

健康食品・化粧品の広告規制の全体像と、当事務所による広告チェックについては、特集「数字で見る健康食品・化粧品の広告規制」でご案内しています。

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本コラムは2026年10月時点の法令・判例に基づいています(更新)。本コラムは、一般的な情報提供を目的として作成したものであり、個別の法律上のアドバイスではありません(その他、免責事項についてもご参照ください)。具体的な事案については、本ウェブサイトのお問い合わせフォームよりご連絡ください。

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