抵当権を設定することができる動産があると聞きました。どのような動産が抵当権の対象となりますか。
【回答】
特別法により抵当権の設定が認められている動産があります。具体的には、船舶、自動車、農業用動産、建設機械、航空機について、抵当権を設定することができます。
民法369条は
- 抵当権者は、債務者又は第三者が占有を移転しないで債務の担保に供した不動産について、他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利を有する(第1項)
- 地上権及び永小作権も、抵当権の目的とすることができる。この場合においては、この章の規定を準用する(第2項)
としており、抵当権の目的(対象)は不動産並びに地上権及び永小作権とされています。
もっとも、以下のとおり、特別法によって抵当権の設定が認められている動産があります。
1 船舶
総トン数が20トン以上の船舶については、登記を要するとされており(商法686条1項及び2項)、登記した船舶については、抵当権の目的とすることが認められています(商法847条)。
(船舶の登記等)
第686条 船舶所有者は、船舶法(明治32年法律第46号)の定めるところに従い、登記をし、かつ、船舶国籍証書の交付を受けなければならない。
2 前項の規定は、総トン数20トン未満の船舶については、適用しない。
2 自動車
自動車については、自動車抵当法により、抵当権の目的とすることが認められています(同法第3条)。
抵当権を設定することができるのは、道路運送車両法によって自動車登録ファイルに登録された自動車です。
ファイルヘの登録によって抵当権設定の対抗要件が具備されることになります。
3 農業用動産
農業用動産については、農業動産信用法により、抵当権の目的とすることがで認められています(同法12条1項)。
抵当権を設定することができる農業用動産の範囲は、各種の農機具類、自動車等の輸送器具、小型漁船牛・馬・豚等の家畜などです(農業動産信用法施行令1条)。
抵当権設定の対抗要件については、農業用動産抵当登記簿への記載によって具備されます。
4 建設機械
建設機械については、建設機械抵当法により、抵当権の目的とすることが認められています。抵当権を設定することができるのは、所有権保存登記がなされた建設機械です。
抵当権設定の対抗要件は、建設機械登記簿への登記によって具備されます。
5 航空機
航空機については、航空機抵当法により、抵当権の目的とすることが認められています。
抵当権を設定することができるのは、航空法によって航空機登録原簿に登録された飛行機です。
抵当権設定の対抗要件は、航空機登録原簿への登録によって対抗要件が具備されます。
関連コラム
- 会社のホームページやウェブサイトを無断で作成されたり、会社情報を無断掲載された場合
- 製造物責任法の「指示・警告上の欠陥」と企業の責任(大阪高裁令和6年3月14日判決)
- 生命共済契約の暴排条項に基づく解除と共済金支払拒否(広島高裁令和6年10月4日判決)
- 私的整理の枠組みの中で行われた集合債権譲渡担保の設定と会社更生法の否認(東京地裁令和5年9月29日判決)
- M&A仲介業者の誤情報提供と重過失による不法行為責任(東京地裁令和5年4月17日判決)
- 信用調査会社の誤った調査報告書と文書提出命令の可否(大阪高裁令和5年12月21日決定)
- 従業員の交通事故における人身傷害保険金の充当順序と過失相殺(東京高裁令和5年9月20日判決)
- 店舗内転倒事故と安全配慮義務違反——東京高裁令和3年8月4日判決を読む
- 契約交渉の一方的破棄と損害賠償の範囲(東京高裁令和5年9月6日判決)
- 会社更生手続における「支払の停止」の認定時期と融資保全策の法的限界(東京地裁令和5年11月22日判決)