【質問】
即決裁判手続とは具体的にどのような手続なのでしょうか?
何か注意点はありますか?
刑事弁護のご依頼・ご相談を受けていると、即決裁判手続について、質問をいただくことがあります。
そこで、今回のコラムは、即決裁判手続の概要について、簡単に解説をいたします。
即決裁判手続とは?
一般に、即決裁判手続とは、事案が明白であり、軽微で争いがなく、執行猶予が見込まれる事件について、速やかに公判期日を指定して相当な方法により審理を行い、原則として即日に執行猶予判決を言い渡す手続をいいます。
即決裁判手続自体は、2004年の刑事訴訟法改正により導入されました。
即決裁判手続の要件
それでは、即決裁判手続は、どのような要件の下に行われるのでしょうか?
検察官は、以下の要件を満たす場合、即決裁判手続を申し立てることになります。
①事案が明白であり、かつ、軽微であること、証拠調べが速やかに終わると見込まれるなど、即決裁判手続で審理するのが相当と認められる事件であること
②死刑、無期、短期1年以上の懲役または禁錮に当たる罪ではないこと
③被疑者の書面による同意があること
④被疑者に弁護人があるときは、弁護人の書面による同意があるか、少なくとも意見を留保していること
そして、検察官による即決裁判の申立てがあった事件について、弁護人の書面による同意があり、公判において被告人から有罪である旨の陳述があった場合、裁判所は、即決裁判手続によることが相当でない場合を除き、即決裁判手続により審理する旨の決定をしなければならないとされています(刑事訴訟法350条の8)。
即決裁判手続のメリット
次に、即決裁判手続には、どのようなメリットが見ていくことにしましょう。
(1)即決裁判手続のメリット:起訴後速やかに公判期日が開かれ、執行猶予判決となる
即決裁判手続では、起訴からできるだけ早い時期に公判期日が指定され(東京地裁では、公訴提起から14日以内に公判期日が指定されています)、原則として1回の審理(30分程度)で即日執行猶予判決が言い渡されます。
このため、起訴後速やかに公判期日が開かれ、執行猶予判決となる点は被告人のメリットといえます。
(2)即決裁判手続のメリット:身柄拘束が解かれやすい
また、即決裁判手続は必ず執行猶予判決となるものであり、検察官がこの手続を選択した以上、罪証隠滅や逃亡のおそれがないことは明らかになったというべきですので、保釈請求や勾留取消請求が通りやすく、早期に身柄拘束が解かれる点もメリットと言えます。
(3)即決裁判手続のメリット:必ず執行猶予が付く(実刑回避)
そして、即決裁判手続の場合、懲役・禁錮の刑を科す場合、必ず刑の全部について執行猶予が付くことになり、この点も被告人にとってはメリットと言えます。
即決裁判手続の注意点
逆に、即決裁判手続の注意点としては、どのようなものがあるのでしょうか?
まず、証拠とすることに異議を述べない限り、伝聞法則が適用されない点が挙げられます(刑事訴訟法350条の12)。
そして、一番の注意点は、即決裁判手続による審理でなされた判決については、事実誤認を理由とする控訴や上告ができない点です(刑事訴訟法403条の2、413条の2)。
このため、即決裁判手続で審理をすることに同意するかについては、弁護人と良く協議をして決める必要があります。
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