ご自身やご家族が刑事事件を起こしてしまった場合、早期に事件を解決するため、示談をしたいと考える方は多いと思います。
しかし、そもそも一般の方にとっては、
示談とは具体的にどういうものなのか?
どのようにすれば示談ができるのか?
示談金の相場はどれくらいなのか?
など、分からないことも多く、実際に示談をしたいと思っても、何から始めれば良いのか、検討もつかないことがほとんどだと思います。
結論から言うと、不起訴処分を得る(前科をつけない)、あるいは少しでも刑を軽くするためにも、刑事事件においては、早期に示談に向けた行動を始めることが大切です。
そして、被害者との間で示談をするためには、刑事事件に精通した弁護士に依頼をすることが有用です。
このコラムでは、刑事弁護についてご質問を受けることが多い、刑事事件における示談の重要性について、概要を解説したいと思います。
刑事事件における示談とは?
そもそも示談とは、具体的にどういう内容のことを指しているのか、確認するところから始めましょう。
少し堅苦しい表現になりますが、刑事事件における示談とは、被害者と加害者との間で締結する和解契約のことをいいます。
被害者と加害者とが話し合い、示談(和解契約)を締結すると、その事件について、民事上、当事者が解決をしたこととなります。そして、示談書を取り交わすことによって、示談(和解)をした事実を警察や検察に伝えることができます。
示談を締結する際には、いわゆる示談金として加害者が被害者にお金を払ったり、被害届の取下げや刑事処罰を求めない旨の記載など、お金(示談金)に関する事項だけではなく、様々な内容を含めることが一般的です。
そして、刑事事件においては、被害者との間で示談をすることが、大きな影響を持つことになります。
以下、具体的に示談のメリットについて見ていくことにしましょう。
示談のメリット(①不起訴処分の可能性が高まる)
まず、示談の一番のメリットとしては、被害者から被害届を取下げてもらえる可能性があることが挙げられます。
被害届が取り下げられると、警察は捜査を中止したり、また、検察官が処分方針を決める際、示談の事実を踏まえ、不起訴にしたりする可能性が高まります。
このため、示談をすることにより、被害届が取り下げられ、結果的に不起訴(前科が付かなくなる)の可能性が高まることは、示談の大きなメリットと言えます。
実務的には、被害者と示談交渉をする中で、示談の内容として、被害届の取下げを入れてもらうよう交渉・説得をすることになります。
示談のメリット(②早期釈放の可能性が高まる)
また、被害者との間で示談が締結された場合には、早期に釈放される可能性も高まります。
具体的には、逮捕後、勾留されずに釈放されたり、勾留の延長が認められなかったり、起訴後、保釈の決定が出て、早期に釈放される可能性が高まります。
勾留や保釈の必要性を判断する際、裁判官(裁判所)は、加害者に、被害者へ接触を図るなどの罪証隠滅のおそれや、逃亡のおそれがあるかどうかを判断材料として、決定をするところ、被害者との間で示談ができていると、証拠を隠滅したり、逃げるようなことはないと判断されることが多いためです。
このため、早期の釈放の可能性が高まる点も示談のメリットと言えます。
示談のメリット(③刑事処分が軽くなる可能性)
また、被害者と示談を締結することによって、刑事処分が軽くなる可能性も高まります。
具体的には、被害者との間で示談がされている事実を踏まえ、微罪処分がなされたり、略式起訴で罰金となる、裁判においても執行猶予付き有罪判決など軽い処分がなされる可能性が高まります。
このため、仮に起訴されてしまった場合でも、粘り強く示談に向けた努力を重ねることが大切です。
示談のメリット(④民事責任も含めた解決)
加えて、被害者との間で示談をすることができれば、民事上も解決することになるため、事後、民事訴訟を起こされるリスクが減ります。
具体的には、示談をする際に示談金を支払い、当事者間において、今後一切の請求等を行わない旨を合意すると、当該事件に関して、刑事事件だけではなく、民事事件としても一挙に解決をすることができます。
示談ができるのは被害者のいる事件
このように示談には大きなメリットがあります。このため、被害者がいる事件では、示談のメリットを活かすためにも、被害者との間で、早期に示談を行うことが大切です。
被害者がいる事件としては、窃盗や横領などの財産犯、痴漢や盗撮、強制性交等などの性犯罪、さらには、暴行罪や傷害罪、それ以外には、最近、インターネット上で特に問題となっている名誉毀損罪などが挙げられます。
ご自身やご家族が被害者のいる犯罪行為に及んでしまった場合には、早期に示談をすることを検討してください。
示談をするにはどうすれば良いのか?
それでは、被害者に対して、具体的にどのようにアプローチをすれば示談ができるのでしょうか?
よくいただくご質問として、加害者本人が示談をすることはできるのか?というものがあります。
結論から言うと、加害者本人、あるいは加害者の家族からの示談というのも全くできないわけではありませんが、実務的には、できない場合の方が多いのが実情です。
これは、そもそも被害者の方が、加害者本人、あるいはその家族とは会うことを希望せず、捜査機関を通じた連絡先の開示さえも応じないケースがほとんどだからです。
このため、被害者と示談交渉を行うためには、弁護士(特に刑事事件に精通した弁護士)に依頼をすることが有益です。
被害者の多くは、加害者本人やその家族に対しては連絡先を開示することを拒否する一方で、弁護士に対しては、「弁護士限り」という条件付きで、連絡先の開示にも応じてくれる可能性が高いからです。
示談交渉を弁護士に依頼することのメリット
それでは、被害者との示談交渉を弁護士に依頼することのメリットとしては、どのようなものが挙げられるのでしょうか?
まず、先程説明をしたとおり、弁護士に依頼をした方が、被害者が連絡先を開示してくる可能性が高く、示談交渉に応じてくれやすい点が挙げられます(過去、弊所がご依頼を受けた刑事事件については、9割以上が連絡先の開示に応じていただいております)。
また、弁護士に示談交渉を任せると、示談が早期に成立しやすいというメリットも挙げることができます。刑事弁護に精通した弁護士であれば、示談について多くの経験があるので、示談交渉のノウハウや示談内容についても多くの選択肢をもっているのが通常です。そして、当事者同士では、どうしても感情的になりがちですが、示談交渉を弁護士が行う場合には、加害者側とはいえ、加害者本人ではない第三者である弁護士と交渉を行うことになるので、直接話す場合と比べ、冷静に話し合うことが可能となります。
加えて、刑事弁護に精通した弁護士であれば、その事件に合った適正な示談金額について、相場観を熟知しています。
このため、加害者が支払うことができる金額と、被害者が希望する金額とをすり合わせ、適切な金額での示談に向けて話し合いをすることができます。
加害者本人、あるいはそのご家族が示談交渉をする場合、示談金の適正な金額(相場感)が分からず、不当に低い金額を提示してしまい被害者を怒らせてしまう、あるいは、逆に被害者から事案に見合わない高額な示談金を要求された場合に、そのまま加害者側が払ってしまうというリスクがあります。
そのようなリスクを避けられることも、示談交渉を弁護士に依頼するメリットの1といえます。
前科を付けない、あるいは刑を少しでも軽くするために(刑事弁護のご相談)
前述のとおり、示談には、多くのメリットがあります。
そして、弁護士が示談交渉をすることによって、迅速かつ丁寧に示談交渉を行い、事件の早期解決を目指すことができます。
五常総合法律事務所では、事務所設立以来、継続的に刑事弁護に取り組んでおり、これまで多くのご依頼・ご相談をいただいております。
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