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行方不明の子どもがいる場合の相続(相続相談から)

【ご相談】

 3年前に主人を亡くしました。子どもは、長男と次男、それから長女の3人がいます。

 ただ、長男は5年前に脱サラしたものの、事業に失敗してしまい、現在、行方不明で音信不通の状態です。

 このような状況で私が亡くなった場合、子どもたちはどのように相続をすることになるのでしょうか?

【回答】

 ご相談者が遺言書を作成することなく相続が開始された場合、次男あるいは長女から家庭裁判所に対し不在者財産管理人の選任申立てを行い、遺産分割協議をすることになります。

 不在者財産管理人は、不在者の財産を守ることが職務のため、遺産分割協議の際は、通常、法定相続分に従った遺産分割を求めることになります。

 そのため、ご相談者やご家族が望む形での遺産分割を必ずしも実現できるとは限らない点に注意が必要です。

 ご相談者の希望する形で相続財産を承継させたい場合には、事前に遺言書(自筆証書遺言か公正証書遺言)を作成しておかれるのがよろしいでしょう。

 

遺産分割協議は相続人全員で

 遺産分割協議は、相続人全員で行う必要があります。

 そのため、相続人の中に不在者(従来の住所等を去った者)がいる場合、そのままの状態、すなわち不在者以外の相続人のみでは、遺産分割協議をすることができません。

 その結果、相続した土地の登記名義が亡くなった被相続人の状態のまま放置されてしまうなどの不都合が生じることになります。

 そこで、法は不在者のための財産管理人制度を設けています。

 

不在者財産管理人とは?

 不在者財産管理人制度とは、従来の住所等を去った者が財産の管理人を置かず、行方不明(音信不通)になった場合に、利害関係人からの申立てを受け、家庭裁判所が不在者のための財産管理人を選任する制度です(民法25条)。

 家庭裁判所により不在者の財産管理人が選任されると、財産管理人は、不在者に代わってその財産を管理する権限を有することになります。

 その結果、次男および長女は、行方不明の長男の代わりに不在者財産管理人を当事者として遺産分割協議を進めることができるようになります(なお、財産管理人が協議書に署名・押印をするには、後述する家庭裁判所の許可が必要となります)。

 

財産管理人の選任はどのように申立てるのか?

 それでは、不在者の財産管理人の選任はどのように申し立てるのでしょうか?

 概要は、以下のとおりです。

申立人

①利害関係人(不在者の配偶者、相続人にあたる者、債権者など)

②検察官

申立先

不在者の従来の住所地または居所地の家庭裁判所

※なお、管轄裁判所を調べたい場合には、裁判所のHPを利用するのが便利です

申立てに必要な費用

・収入印紙800円分

・予納郵券(※家庭裁判所ごとに異なるため確認が必要)

申立てに必要な書類

・申立書

・添付書類

 ・不在者の戸籍謄本(全部事項証明書)

 ・不在者の戸籍附票

 ・財産管理人候補者の住民票または戸籍附票

 ・不在の事実を証する資料

 ・不在者の財産に関する資料

 (不動産登記事項証明書、預貯金等の残高が分かる資料等)

 ・利害関係人からの申立ての場合、利害関係を証する資料

 (戸籍謄本等)

予納金

・予納金の額は、各地の裁判所により異なるが、概ね20万円から30万円程度。

・なお、予納金は、不在者に財産が十分にある場合には還付される。

 

 申立てを受けた家庭裁判所は、申立書や所在不明となった事実を裏付ける資料を確認したうえで、申立人から事情を聞いたり、不在者の親族に照会をしたりして「不在」であることについて審理をすることになります。

 通常、申立てから財産管理人の選任までは、2カ月から3か月程度かかるのが一般的です。

 なお、不在者財産管理人選任の申立書の書式や記載例は、裁判所のHPにも公表されているため、参考にすると良いでしょう。

 

不在者財産管理人を交えた遺産分割協議

 家庭裁判所から不在者の財産管理人が選任されると、財産管理人を不在者の代理人として遺産分割協議を進めることになります。

 もっとも、不在者財産管理人は、あくまで不在者の財産・権利を守ることが職務となります。

 そのため、遺産分割協議の際には、原則として、法定相続分に従った遺産分割を求め、不在者にとって著しく不利な内容・条件での遺産分割協議に同意することはありません。

 (財産管理人が遺産分割協議書に署名・押印をしたり、不在者の財産を処分したりする場合、別途、家庭裁判所から許可を得る必要があり(いわゆる「権限外行為許可」)、

   よほどの事情がない限り、不在者にとって著しく不利な内容・条件での遺産分割協議書に署名等することについて、許可を与えることはありません)。

 このため、費用をかけて不在者財産管理人を選任したとしても、被相続人や相続人の希望する遺産分割が必ずしも実現できるわけではないことに注意が必要です。

 

遺言書作成のススメ

 そこで、相続人の中に行方不明の子どもがいる場合には、実務上は事前に遺言書(自筆証書遺言あるいは公正証書遺言)を作成しておくことになります。

 事前に遺言書を作成しておけば、遺留分の制約は残るものの、遺言者の希望する形(あるいはそれに近い形)での財産の承継が可能となるためです。

 今回のご相談者のようにご自身のお子様の中に所在不明の子どもがいる場合には、事前に遺言書を作成されておくと良いでしょう。

 

相続相談のご案内

 五常法律会計事務所では、事前の相続対策遺言書の作成家族信託契約の締結)、中小企業の事業承継相続人間の紛争処理(遺産分割調停・審判、遺留分減殺請求等)に注力をしており、設立以来、多くのお客様から相続に関するご相談を戴いております。

 相続に関するご相談は初回2時間まで無料にて対応をしております(※事前予約制です)。

 また、高齢や障がい等の理由から、外出に不安のある方に対しては、事前に日程調整をさせて戴いたうえで、出張相談も随時行っております(なお、別途、出張日当や実費支払いが発生することがございます)。

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